日光市のいろは坂より上の地域は「奥日光」と呼ばれ、多様な環境が凝縮された地域です。太平洋型気候と日本海型気候の境界にあり、標高は約900mから約2,500mまで、湖沼や滝、川、森林、そして広大な湿原が広がっています。そして、それぞれの環境に適応した様々な動植物が生息・生育しています。
毎年多くの利用者が訪れ、季節の花々や秋の紅葉探勝、ハイキングや本格的な登山、滝巡り、バードウォッチング、フライフィッシングなど、様々な自然体験の場となっています。
シカは全国的に個体数が増加しており、各地で農業や自然植生に影響が出ています。奥日光では1980年代から個体数が増え始め、生態系への影響が懸念されました。そこで、奥日光各地の4万本以上の樹にネットを巻き、樹皮を保護したり、白根山、千手ヶ原、小田代原、戦場ヶ原などに柵を設置し、シカの侵入を防止しています。
1960年代後半から、北アメリカ原産であるオオハンゴンソウが奥日光各地に分布を広げ、1972年から除去活動が開始されました。戦場ヶ原ではほぼ根絶に成功しましたが、他の地域には群落が残っており、フランスギクなど他の外来植物と共に除去活動が続けられています。
また、同じく北アメリカ原産のコカナダモが湯ノ湖や中禅寺湖で繁茂しており、水質悪化などの影響が懸念されています。湯ノ湖では1998年から除去活動が開始されましたが、根絶は難しく、現在も除去活動が続けられています。